日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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mRNA代謝における細胞骨格ネットワークの役割
*濱田 隆宏深谷 雄志渡辺 雄一郎橋本 隆
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p. 0850

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抄録
真核生物のmRNAは核内でDNAから転写され、細胞質へと輸送される。細胞質に運ばれたmRNAはリボソームによって翻訳され、さらに不要となったmRNAは逐次分解される。このmRNAの代謝はmRNAに結合する様々なリボ核タンパク質群(ribonucleoproteins:RNPs)によって行われている。
我々はシロイヌナズナ培養細胞から微小管画分を精製し、微小管に結合するタンパク質群のプロテオーム解析を行ってきた。その結果、微小管画分には多くのRNPsが含まれており、微小管とmRNAの代謝に関連があることが示唆された。動物や酵母ではmRNA-RNPs複合体が微小管に沿って運ばれる例があり、植物においても微小管がmRNA-RNPs複合体の輸送に関わっている可能性がある。
今回、我々はmRNAの分解に働くmRNA-RNPs複合体であるプロセッシングボディ(P-body)をP-body特異的タンパク質であるDCP2―GFP融合タンパク質によりラベルした。このP-bodyの動態と微小管の関連を調べた結果、P-bodyは微小管に沿って動くことはなく、むしろ微小管上に係留されることが明らかとなった。さらにこのP-bodyの輸送はアクチン繊維破壊剤であるラトランキュリンBにより阻害された。このことより植物のP-bodyはアクチン繊維依存的に細胞内を輸送され、微小管上に係留されると考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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