抄録
クラミドモナスは生長速度が速く体細胞の核相が1nであり、遺伝子の表現系解析が容易な緑藻のモデル生物である。我々はスペクチノマイシン耐性遺伝子(aadA)をトランス遺伝子として持つクラミドモナス19-P(1030) 株にaadA inverted repeat DNAコンストラクトを導入してRNAiを誘起し、トランス遺伝子aadAがノックダウンされ、スペクチノマイシン耐性が低下した株(RNAi-37)を単離した。RNAi変異体を得るため、この株の核ゲノムにtag DNAとしてパロモマイシン耐性遺伝子(aphVIII)を導入し、RNAi反応が低下した株(92-12C-E)を得た。92-12C-E株はtagの導入に伴いゲノム領域の一部を欠損しており、その欠損領域には、機能未知のタンパク質、thioesterase様タンパク、PWI・Zn-fingerモチーフ配列を持つタンパクをコードする3つのORFの存在が予測されている。現在、欠損領域全域をカバーするBACクローンから各ORFとその上流域を少なくとも1.0 kb含むDNA断片をサブクローン化し、これら3つのBACサブクローンと、欠損領域全域を含むBACクローンを用いたコンプリメンテーション実験を進めている。