抄録
植物は、生育ステージやリン酸欠乏ストレスによりリン酸の吸収や転流を制御しており、その機構には複数のリン酸トランスポーターが関わっていると考えられている。
本研究では、マメ科モデル植物ミヤコグサのリン酸トランスポーターファミリーの遺伝子を単離し、6つのリン酸トランスポーター遺伝子の局在とリン酸欠乏応答性についてリアルタイムPCRとin situハイブリダイゼーションにより調べた。その結果、6つの遺伝子は根、葉、茎、花、さやでそれぞれ特異的に発現していた。リン酸欠乏処理時では、主に根、葉での発現量の増加が見られたのに対し、花やさや組織ではコントロールと同様のであった。LjPT1、LjPT2、LjPT3は根と葉において同様にリン酸欠乏時に発現量が増加していたことから、これらの機能を比較するために根、葉での発現量変化を詳細に解析した。その結果、LjPT1は根での発現量増加がほかの遺伝子より早く、成熟葉ではLjPT1、LjPT2の増加が著しかった。また、新芽では、どの遺伝子の発現量も増加していた。
また、当研究室で開発したリアルタイムRIイメージングシステムでの32Pイメージング解析により、トランスポーター発現量に違いのあるミヤコグサ組織へ移行したリン酸の絶対量を求めた。その結果、組織へ単位時間あたりに移行したリン酸量はコントロールとリン酸ストレスサンプルで約5倍違っていた。