抄録
これまでにモデル植物であるイネ(日本晴)を用いてMgの吸収・移行様式を解析し、輸送タンパク質が関与することを示唆する結果を報告した。その後、イネゲノムデータベースより、シロイヌナズナのMg輸送体(AtMGT)のオーソログを検索し、前報に報告した6遺伝子にさらに3遺伝子を加えた計9遺伝子(以下、OsMGTファミリー)を対象として、Mg輸送体が担う役割を解析したので報告する。これらOsMGTファミリーのアミノ酸配列には、自然界に広く存在することが知られるCorAスーパーファミリーに共通のGxNモチーフが存在した。そしてOsMGTの予想ORF部分を挿入したプラスミドをMg輸送能欠損酵母に導入し、様々なMg濃度の培地における生育速度を比較した。その結果、新たに検討した試料の中にも機能相補性を示すOsMGTが存在し、少なくとも3つのタンパク質についてMg輸送能を有する可能性が示唆され、それぞれのOsMGTが複合的にMg輸送を担っている可能性が考えられた。また、Mgの他に輸送することが報告されているCo2+などのカチオン輸送能についても解析中である。