日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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カドミウム吸収に関するイネの鉄トランスポーターの解析
*高橋 竜一石丸 泰寛瀬野浦 武志Shimo Hugo石川 覚荒尾 知人中西 啓仁西澤 直子
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p. 0888

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抄録

カドミウムはヒトや植物に対して有害な重金属の一つであり、コメへのカドミウムの蓄積は日本の農業における重要な問題の一つとなっている。我々はこれまでにイネの二価鉄トランスポーターOsIRT1、OsIRT2がカドミウムも輸送し、鉄の輸送メカニズムがカドミウムの輸送にも大きく関与していることを報告した。本研究では、イネから鉄のトランスポーター遺伝子であるOsNRAMP1を単離し、カドミウムの吸収や輸送について調べた。
OsNRAMP1とGFPとの融合タンパク質をタマネギの表皮細胞に導入したところ、GFP蛍光は細胞膜に観察された。また、OsNRAMP1を導入した酵母は、10μMのカドミウムを含む培地上ではベクターコントロールよりも生育が悪くなり、細胞内カドミウム含量も高かった。イネのカドミウム高蓄積品種であるインド型のハバタキとカドミウム低蓄積品種である日本型のササニシキで比較したところ、OsNRAMP1の塩基配列は100%一致していた。しかし発現特性は大きく異なっており、通常条件ではササニシキの根よりもハバタキの根で約6倍の発現がみられた。
以上の結果から、OsNRAMP1は細胞内へのカドミウムの吸収、蓄積に影響していること、また、根でのOsNRAMP1の発現量が地上部におけるカドミウム蓄積量にも影響を与えていることが考えられた。

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© 2010 日本植物生理学会
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