抄録
シロイヌナズナのペプチドシグナルAtPep1とそのホモログは、病原体に対する抵抗性機構を強化する内在性エリシターと考えられている。AtPepペプチドの受容体は、細胞外にロイシンリッチリピートを持つ受容体型キナーゼAtPEPR1である。本研究では、AtPEPR1と相同性の高い受容体型キナーゼAtPEPR2の、AtPepペプチドの受容と抵抗性機構への関与について解析した。AtPEPR1とAtPEPR2の遺伝子発現は、傷、ジャスモン酸、AtPep1、細菌性エリシターによって誘導された。AtPep1処理による病害抵抗性遺伝子の発現誘導効果および、Pseudomonas syringae pv. tomato DC3000への抵抗性増幅効果は、pepr1とpepr2変異株では部分的に、pepr1/pepr2変異株では完全に抑制された。AtPEPR1とAtPEPR2を発現させたタバコ培養細胞を用いたAtpep1の結合/競合実験より、AtPEPR1はAtPep1-6を受容し、AtPEPR2はAtPep1とAtPep2を受容できることを明らかにした。