日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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新規シロイヌナズナPP2C (AtPP2CF1) の機能解析
*杉本 広樹近藤 聡村本 伸彦田中 倫子小川 健一大音 徳光川 典宏
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p. 0898

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抄録
プロテイン ホスファターゼ2C (PP2C) はプロテイン セリン/スレオニン ホスファターゼ ファミリーに属し、リン酸化カスケードのキーエンザイムとして機能する。植物のPP2Cは他の真核生物と比較して非常に大きなファミリーを構成している。シロイヌナズナのPP2Cは一部を除き、A~Jの10グループに分類される。このうちAグループのPP2Cは植物ホルモンの一つであるアブシジン酸 (ABA) のシグナル伝達経路の負の制御因子として知られており、種子の発芽やストレス応答など様々な生理現象に関与している。その一部のABI1等は、最近単離されたABA受容体であるPYR/PYLsと直接、相互作用することが報告されている。このようにAグループのPP2Cは比較的、解析が進んでいるが、他のグループのPP2Cについては遺伝学的・生化学的な解析がほとんどなされていない。
我々はシロイヌナズナのPP2Cのうち、AtPP2CF1と名付けたグループEに属しABA応答性を示すPP2C (At3G05640) の解析を行った。AtPP2CF1 の発現の組織特異性や細胞内局在の解析により、AtPP2CF1 は維管束、孔辺細胞あるいは根端で発現し、核と細胞質で機能していることが示唆された。現在、AtPP2CF1の酵素活性の解析を行っており、それについてもあわせて報告したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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