日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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クロレラの窒素化合物利用に対する複数の青色光受容体の関与
*谷口 陽亮神谷 明男
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p. 0906

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抄録
クロレラの生育は窒素源(硝酸)が十分存在するgrowing phaseの細胞と、窒素源が枯渇したresting phase の細胞からなる。以前 growing phaseでは硝酸(アミノ酸・アンモニア)輸送が、グルコース添加(青色光照射)により抑制をうけることを見出した。また resting phase の細胞では硝酸(アミノ酸・アンモニア)輸送系は、グルコース添加(青色光照射)により顕著に誘導されることが認められた。
Growing phaseの細胞の硝酸取り込みの抑制は、青色光による硝酸還元酵素活性化の結果から、生成したアンモニアによる抑制と考えられた。一方resting phaseの細胞では、アミノ酸(グリシン)酸化酵素が青色光により活性化され、生成したアンモニアによるデンプン分解が誘導され、増加したグルコースが硝酸(アミノ酸・アンモニア)輸送系の誘導を引き起こすと推測された。
以上の現象は、growing phaseとresting phaseにおける青色光受容体の違いによるものと考えられる。クロレラは窒素源をアンモニアで培養すると、硝酸還元酵素が欠損する。アンモニア培養細胞でも青色光による呼吸の誘導(デンプン分解)が認められたことから、クロレラの窒素代謝は複数の青色光受容体(硝酸還元酵素、アミノ酸酸化酵素)により制御されると考えられる。
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© 2010 日本植物生理学会
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