日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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Azospirillum属細菌エンドファイトによるイネ生育促進効果の解析
*伊沢 剛安田 美智子粟崎 弘利南澤 究篠崎 聰仲下 英雄
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p. 0952

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抄録
自然界の植物の表面、内部、根圏には様々な細菌が存在し、植物との相互作用により多様な役割を担っていると考えられている。我々は、栽培イネの内部より分離したAzospirillum属細菌について、イネへ再接種して内部に定着させた際のイネの生育に与える影響を評価した。温室試験では、3葉期のイネの根本にAzospirillum属細菌懸濁液 (1x108 CFU/ml) を処理し、自然光、明期25℃、暗期19℃で栽培を行った。その結果、Azospirillum属細菌処理区において第5葉の伸長の促進が観察され、また、地上部の乾物重が有意に増加していた。次に、実際のイネ栽培における評価を行うため、このAzospirillum属細菌を処理したイネの栽培を圃場で行った。その結果、処理区において分げつ、草丈、穂数が有意に増加し、最終的に種子収量が増加した。穂の大きさには処理区と無処理区の差は見られなかった。以上から、イネ内部に定着したAzospirillum属細菌がイネの生育、分げつを促進し、その結果、穂数が増えることにより種子収量が増加することが明らかになった。
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© 2010 日本植物生理学会
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