日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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SUMO E3 ligase HIGH PLOIDY2 regulates endocycle onset and meristem maintenance in Arabidopsis.
*石田 喬志杉本 慶子
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p. S0058

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抄録
多くの植物細胞は生長過程においてDNA複製と細胞分裂が交互に起きるMitotic cell cycleを経た後、細胞分裂を伴わずDNA複製のみ起こるEndocycleへと移行する。この細胞周期の切り替えは植物の生長を制御する重要な過程であるが、この移行に関するメカニズムは分かっていない。我々はHIGH PLOIDY2 (HPY2)というMMS21型のSUMO (Small ubiquitine-like modifier) E3 ligaseがシロイナズナのメリステムにおいて核内倍加周期への移行を抑制していることを解明した。SUMOはユビキチン様の小型タンパクであり、E3 ligaseを通じて種々の基質タンパクと結合し機能調節を行う。HPY2にはSUMO E3 ligaseの機能ドメインであるSP-RINGドメインが保存され、これがin vivo及びin vitroでのHPY2の機能に必要である。HPY2はメリステムで発現しており、hpy2変異体では細胞分裂周期の活性が低くメリステム細胞が通常よりも早く核内倍加周期に移行してしまうため、分裂組織が維持されず植物体全体が極度に矮小化してしまう。さらに、遺伝学的解析からオーキシン-PLETHORA (PLT1)経路による細胞周期の転換及びメリステムの維持過程においてHPY2によるSUMO 修飾制御が重要な役割を持つことが明らかとなった。
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© 2010 日本植物生理学会
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