抄録
我々は、イネ変異体を用いてGAの受容とシグナル伝達に関する研究を行ってきた。GAの核内受容体であるGID1は、GAと結合すると抑制因子であるDELLAタンパク質と結合する。このGID1-GA-DELLA複合体形成は、SCFGID2を介してDELLAタンパク質をユビキチン依存的分解へと導き、その結果としてGA応答がおこる。最近、我々はGID1の構造解析を行い、1)GID1は、リパーゼ様の構造をしており、その活性ポケットにあたる部分でGAと結合する、2)その結合には活性型GAに特徴的な基とGID1ポケットに存在する複数のアミノ酸が水素結合や疎水結合により結合する、3)シダから被子植物へと進化する過程で、活性型GAとより強く結合し不活性型GAとはより結合しにくくなった、などを明らかにした。
タンパク質分解の観点からのGA受容システムにおけるポイントは、GID1-GA-DELLA複合体形成依存的なDELLAタンパク質(標的タンパク質)とGID2(ユビキチン化因子)の相互作用である。現在、我々は、DELLAとGID2のアミノ酸を網羅的にアラニンに置換した変異型タンパク質を作りY3HやSPRにより両者の結合を詳細に調べるとともに形質転換体を用いてユビキチン依存的分解への影響を調べている。シンポジウムでは、これらの結果について報告する。