日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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窒素炭素バランス応答機構におけるBTタンパク質の役割の解析
*長澤 祐樹加藤 祐樹小西 美稲子石田 哲也藤原 徹柳澤 修一
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p. 0014

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抄録

植物における窒素炭素バランスを感知して応答するという機構は、窒素と炭素の代謝の制御のみならず生長・発達の制御にも深く関わる重要なものである。これまでにユビキチンリガーゼ活性を持つタンパク質CNI1/ATL31などが窒素炭素バランス応答機構に関与していることが示唆されているが、その全容は不明である。BTタンパク質は、BTBドメインとTAZドメインの二つのタンパク質相互作用ドメインを持つ植物に特異的な構造を有するタンパク質であり、足場タンパク質として働いていることが予測される。シロイヌナズナには5つのBT遺伝子が存在し、この中のBT1およびBT2遺伝子の発現は糖により抑制され、一方で窒素(硝酸)によって誘導されることが知られている。今回、BT1およびBT2タンパク質は核に局在すること、また、bt1変異体およびbt2変異体では、高濃度の糖による緑化の阻害がより顕著に認められ、この糖の効果に対する硝酸の拮抗的作用が低下していることを示す。また、bt1 bt2二重変異体では、この表現型がより顕著であったことから、BT1およびBT2は窒素炭素バランス応答に関わる可能性が示唆された。BTタンパク質が足場タンパク質として働いている可能性を検討するため、プロテオミクスの手法によるBTタンパク質と相互作用するタンパク質あるいはBTタンパク質を含む複合体の解析を進めており、その結果も示す予定である。

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© 2011 日本植物生理学会
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