日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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東海丘陵要素トウカイコモウセンゴケとその両親種の硝酸同化系遺伝子の解析
*豊田 歩上坂 一馬上野 薫南 基泰小俣 達男井原 邦夫小田原 卓郎那須 守米村 惣太郎横田 樹広愛知 真木子
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p. 0013

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抄録
食虫植物であるモウセンゴケ属は,一般に貧栄養湿地に生育する.トウカイコモウセンゴケ(Drosera tokaiensis;Dt)と両親種であるモウセンゴケ(D.rotundifolia;Dr),コモウセンゴケ(D.spathulata;Ds)の生育地の水質調査を行ったところ,硝酸イオン濃度はDrは0~3.3μM(平均0.9μM),Dsは3.1~39.7μM(15μM)であるのに対し,Dtは0~148μM(43μM)と適応範囲が幅広い上に高濃度であった.Dtの両親種であるDrDsは単一系統に属し,モウセンゴケ属内で近縁な関係にあるので,3種の性質を比較するために窒素栄養濃度と生育の関係を調べた.その結果,DtDsは富栄養条件下でも生育可能でありDrは富栄養感受性が高いことが明らかとなった(2009年度本学会報告).このような窒素環境への適応の度合いは,硝酸同化システムの違いに起因すると考え,3種の硝酸還元酵素(NR)と亜硝酸還元酵素(NiR)のcDNAの単離と解析を行っている.取得したNRとNiRおよびRbcLの推定アミノ酸配列について無根系統樹を作成したところ,NRとNiRはRbcLで作成された系統樹とは異なるプロファイルであった.他の植物及び3種間での比較を行った結果から予想されるモウセンゴケ属のNR,NiRの獲得時期について考察する.
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© 2011 日本植物生理学会
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