日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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海洋性ラン藻の亜硝酸イオン輸送体の構造と機能の解析
*前田 真一村上 明男伊藤 寿田中 歩小俣 達男
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p. 0016

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抄録
これまでに多くの海洋性ラン藻の全ゲノム情報が解読され、硝酸還元酵素を持つ海洋性ラン藻はMFS型の硝酸イオン/亜硝酸イオン輸送体を持ち、亜硝酸還元酵素を持つ海洋性ラン藻の中には、藻類の亜硝酸イオン輸送体や細菌のギ酸イオン輸送体と相同性の高い輸送体をコードしているfocA遺伝子を持つものがいることが示されている。我々はこれまでに、淡水性ラン藻Synechococcus elongatus のABC型硝酸イオン/亜硝酸イオン輸送体とABC型シアン酸イオン/亜硝酸イオン輸送体の両方を欠失させた二重変異株(NA4)とシャトル発現ベクター用いて、Synechococcus sp. PCC7002のFocA輸送体には亜硝酸イオン輸送活性があることを報告してきた。しかしながら、他の2種類の海洋性ラン藻のFocA輸送体をNA4に発現させても亜硝酸イオン輸送能を確認できなかったことから、種によってFocA輸送体の構造と機能に違いがあることが推測された。そこで本研究では、海洋性ラン藻のFocA輸送体の構造の違いに着目し解析を行った結果、Synechococcus sp. PCC7002以外のFocA輸送体はC末端領域を欠いた形で発現させた場合に活性が見られることが明らかになり、FocA輸送体の活性を阻害する領域がC末端に存在することが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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