日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ラン藻における硝酸同化系の制御機構の解析
*大橋 慶丈高谷 信之愛知 真木子前田 真一小俣 達男
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p. 0017

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抄録
ラン藻の培地にNH4+を加えると、硝酸イオン輸送体(NRT)や硝酸還元酵素(NR)の活性が阻害されてNO3-の吸収が停止する。ラン藻のNRTにはABC型のNrtABCDとMFS型のNrtPの2種類があり、前者はNH4+により阻害され、後者は阻害されない。一方、NRは1種類しかないが、ラン藻種によって阻害されるものとされないものがある。本研究ではSynechococcus elongatus PCC7942のABC型のNRTをNostoc punctiforme由来のNrtPに置換した変異株(NP1)を作製し、そのNR欠損株(NP2)を親株として種々のラン藻のNRを導入した。様々なNRを導入した変異株においてNH4+によるNRの阻害の有無を確認した結果、阻害されるNRはN末端部の鉄硫黄クラスター結合領域の3番目と4番目のCys残基間に39アミノ酸からなるループを持つことが明らかになった。また、そのループ内に保存されているPro残基が阻害に必要であった。このループと保存されるPro残基は、NH4+によって阻害されないNrtPを持つラン藻の全てのNRで確認されたことから、全てのラン藻でNRTとNRの少なくとも一方がNH4+による阻害を受けることが予測される。本発表では、2種類のNRTの性質の違いとNRの阻害の有無について、生育環境を考慮した議論を行いたい。
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© 2011 日本植物生理学会
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