日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ胚乳においてGEFはグルテリン前駆体の貯蔵型液胞への輸送に関与する
*福田 真子佐藤 美緒Okita Thomas W.川越 靖小川 雅広熊丸 敏博
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p. 0103

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抄録
GEF (Guanine nucleotide Exchange Factor)は小胞輸送を担うRabタンパク質の活性化を促進する因子である。イネ種子においてGEFの構造遺伝子変異、glup6突然変異は胚乳においてグルテリン前駆体を多量に蓄積する。しかし、グルテリン前駆体の細胞内輸送におけるGEFの機能については不明である。そこでGEFに関する2系統のglup6同座変異体の組織学的解析を行った。蛍光顕微鏡解析の結果、両glup6系統において小型化したPBIIと、グルテリン前駆体を集積する構造体が観察された。この構造体は層状構造を示し、構造体内にグルテリンの他にグロブリンとゴルジ体で合成されるβ-グルカンが存在した。さらに、共焦点レーザー顕微鏡解析より、液胞前区画(prevacuolar compartment: PVC) タンパク質及びゴルジ体膜タンパク質も構造体に局在した。これらの結果から、glup6においてグルテリン前駆体のゴルジ体以降の輸送が滞っていることが考えられる。また、glup6の登熟初期の胚乳では細胞壁にグルテリンを集積する顆粒が観察されたが、登熟後期では消失した。
以上のことから、イネGEFは胚乳細胞におけるゴルジ体等のエンドメンブレンシステムの形成に重要な作用を有し、グルテリン前駆体のゴルジ体からPSVへの細胞輸送に関与していると考えられる。
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© 2011 日本植物生理学会
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