日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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プロテオミクスを用いたミトコンドリアのチオレドキシン標的タンパク質の探索
*吉田 啓亮野口 航本橋 健久堀 徹
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p. 0168

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抄録
植物ミトコンドリア内部のレドックス状態は、様々な環境要因によって変化する。この変化に応じて、生体内のレドックス制御に中心的な役割を果たすチオレドキシン(TRX)システムにより、様々なミトコンドリアタンパク質が活性調節を受けている可能性がある。私たちは、TRXアフィニティクロマトグラフィーとプロテオミクス技術を駆使して、ミトコンドリアのTRX標的候補タンパク質の網羅的な捕捉・解析を進めている。これまでに得られたジャガイモ根茎とホウレンソウ緑葉のミトコンドリア可溶性画分の標的候補には、TCAサイクル・光呼吸などの代謝系やタンパク質合成系など、様々な反応に関わるタンパク質が含まれていた。また、穏やかに可溶化した膜タンパク質からは、呼吸鎖複合体IやATP合成酵素の複数のサブユニットなどが標的候補として同定された。さらに、とりわけ興味深いタンパク質として、ストレス環境時に過剰還元力の散逸系として機能するAOXも標的候補に含まれることが、抗体を用いた高感度検出により明らかになった。本年会では、得られたミトコンドリアのTRX標的候補タンパク質のリストを提供し、TRXによるミトコンドリアの機能調節の可能性について議論したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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