日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネにおけるTORキナーゼの単離と生化学的解析
*前川 堅太郎
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p. 0206

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抄録
target of rapamycin(TOR)は真核生物で広く保存されているタンパク質であり、動物や酵母では細胞が置かれている環境に応じて細胞成長や増殖、タンパク質合成などを調節するシグナル系の中枢として働いている。植物のTORシグナル系の解析はまだあまり進んでいないが、最近、シロイヌナズナのTORシグナル系がオートファジーや細胞壁の合成と構造調節に関与していることが報告された。
TORは細胞内でTOR 複合体(TORC)を形成して機能を果たしている。酵母や動物ではTORC1とTORC2の2種類の複合体が存在し、それぞれ異なる機能を果たしている。このうち、植物ではTORC2を構成するタンパク質およびTORシグナルの上流に存在する因子のホモログは存在しない。そのため、植物には独自のTORシグナル系が存在するものと考えられる。
我々は植物におけるTORシグナル系を明らかにするため、イネにおいて保存されているTORC構成因子の遺伝子をクローニングした。イネのTORを酵母のTOR機能欠損株に導入したところ、TORC2機能欠損だけでなく、TORC1機能欠損も相補しなかった。このことは、植物のTORキナーゼが酵母TORとは異なる性質を持つことを示唆した。本発表ではイネTORの生化学的解析の結果について報告する。
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