日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナNIMA関連キナーゼの機能的重複と多様化
*本瀬 宏康酒井 達也橋本 隆高橋 裕一郎高橋 卓
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p. 0208

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抄録
NIMA関連キナーゼ (NEK)は、真核生物で広く保存されているSer/Thr型タンパク質リン酸化酵素である。動物細胞や菌類では、サイクリン依存性キナーゼと共に細胞周期の調節、特にM期の開始と進行・中心体の分裂・紡錘体形成を制御する。一方で、植物のNEKの機能については断片的な知見に留まっており、ほとんどわかっていない。我々はシロイヌナズナの7つのNEKの機能解明を目指して解析を進めている。局在解析の結果、7つのNEK全てが微小管上に局在することがわかった。中心的な役割を果たすNEK6はNEK4, NEK5と相互作用し、チューブリンやアルマジロリピートキネシン1(ARK1)をリン酸化し、微小管の過剰な安定化を抑制して表皮細胞の伸長を制御することを示した。多重変異体の解析から、NEK1, NEK2, NEK3 が根表皮の伸長方向を制御すること、NEK4, NEK5, NEK6, NEK7がストレス応答に関与することを見出した。また、NEK6と相互作用するタンパク質を免疫沈降法と酵母2ハイブリッドにより探索し、膜タンパク質などを多数見出している。これらの知見から、植物のNEKがお互いに相互作用し、細胞伸長や環境応答を制御することが明らかになった。以上の結果をまとめ、植物のNEKファミリーの機能的重複と多様化について考察する。
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© 2011 日本植物生理学会
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