日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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mPingはなぜ転移するのか? -エピジェネティックな制御機構から逸脱したイネ転移因子Pingの影響-
*門田 有希内藤 健Susan R Wessler奥本 裕
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p. 0233

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抄録
転移因子は生物のゲノム上の大部分を構成する要素であるが、その多くはDNAのメチル化を介したepigeneticな機構により抑制されている。イネトランスポゾンmPingは、品種日本晴を含む多くのイネ品種において、50コピー程度しか存在しないのに対して、品種銀坊主および数品種において、大量のコピー数を獲得しており、未だに高頻度で転移することが報告されている。著者らは、mPingの爆発的な増殖を引き起こしている要因を明らかにするために、その転移を引き起こす自律性因子であるPingおよびPongのメチル化程度および転写量を解析した。
Pongは、両品種において発現量が非常に低く、さらにそのプロモーターおよびORF領域共にゲノム上の他の転移因子と同程度に、高度にメチル化されていた。一方、Pingは、全生育期間を通じて品種日本晴においても発現が確認され、両品種間でその発現パターンに大きな違いは見られなかった。さらに、Pingプロモーターのメチル化程度は、両品種において、極端に低くなっていた。
以上のことから、Pongは両品種において既に抑制されていると考えられたのに対して、Pingは日本晴においても活性を維持しており、それはプロモーター領域の低メチル化が起因している可能性が高いと考えられた。
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© 2011 日本植物生理学会
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