日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのリボソームタンパク質RPL4Dが葉の発生に果たす役割の解析
*堀口 吾朗塚谷 裕一
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p. 0337

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抄録
近年、リボソームが形態形成に果たす役割に注目が集まっている。シロイヌナズナでは約80種のリボソームタンパク質(r-protein)全てが小規模な遺伝子ファミリーによってコードされている。従って、リボソームタンパク質欠損変異株のごく一部を調べるだけでは、リボソームの発生制御機構について、十分な理解を得ることは難しい。我々は、独自に収集した葉の形態に関する突然変異株の中から多数の新規r-protein欠損変異株が見を見いだしてきた。これらの系統をまとめて解析することにより、葉肉細胞数の減少とasymmetric leaves1 (as1)/ as2変異株が示す葉の背腹性異常の促進という2つの表現型が、多くのr-protein欠損変異株に共通した表現型であることを明らかにした。これらの結果は、葉肉細胞の増殖、葉の背腹性制御に関して、リボソームそれ自体が重要な役割を持つことを示している。ところが、特定の表現型に強い影響を及ぼす例としてrpl4dが見いだされた。この変異株は葉の細胞増殖には大きな影響を及ぼさないが、as1/as2の背腹性異常を極めて強く促進する。従って、RPL4Dはリボソームの中でも特有の機能を担っていることが示唆される。RPL4Dが発生に果たす役割を明らかにするため、現在、遺伝学的、形態学的解析な解析に加え、遺伝子発現レベルでの解析を進めており、その結果について報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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