抄録
リボゾーム関連因子は葉の形態形成と密接な関わりを持つ。シロイヌナズナのリボゾームタンパク質(r-protein)の欠損変異株は、葉が菱形に尖るという特徴的な表現型を示す。我々はr-protein遺伝子変異株の幾つかが、軽微な向軸側の欠損を示すasymmetric leaves1 (as1)/as2変異株の表現型を強く促進することを見いだした。これらの結果は、r-protein遺伝子は向背軸制御おける特有の役割を持つことを示唆する。しかしながら、r-protein遺伝子が向軸側因子の発現促進または背軸側因子の発現抑制のいずれに重要なのかは不明である。そこで、r-protein遺伝子が向背軸特異的に発現する株を作成し、r-protein遺伝子が葉の向軸側と背軸側のどちらで重要な役割を果たしているかを明らかにしようと試みた。まず、as2の背軸化の表現型を劇的に促進したrpl4dに着目し、RPL4Dに対して、裏側の発現に限定させるためのtasiR-ARFの標的配列、または表側の発現に限定させるためのmiR165/166の標的配列を接続した遺伝子を構築した。現在、これらの改変RPL4Dが背軸化したas2 rpl4d二重変異株の葉の表現型を相補できるかどうか解析を行っている。これらの解析を踏まえ、r-protein遺伝子を介した葉の背腹性制御機構に関して議論する。