日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒメツリガネゴケpolycomb repressive complex 2遺伝子破壊体におけるヒストンH3メチル化状態のゲノムワイド解析
*石川 貴章玉田 洋介日渡 祐二Thompson Kari大島 真澄倉田 哲也西山 智明長谷部 光泰
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p. 0376

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抄録
polycomb repressive complex 2 (PRC2)は、ヒストンH3の27番目のリシン残基(H3K27)を特異的にトリメチル化する活性を持ち、動物や植物において遺伝子の発現抑制状態を安定に維持するために機能している。今回、我々は、ヒメツリガネゴケにおけるH3K27me3の局在をゲノムワイドに調べるため、野生型およびPRC2の構成因子の一つをコードするPhyscomitrella patens CURLY LEAF (PpCLF)遺伝子の遺伝子破壊体(Okano et al. PNAS 2009;106,16321-26)を材料に、ChIP-Seq解析を行った。その結果、H3K27me3は、全JGI遺伝子モデルの20%に相当する6000以上の遺伝子上に局在することが分かった。また、PpCLF遺伝子破壊体では、これらの遺伝子上におけるH3K27me3の局在が消失していた。このことから、ヒメツリガネゴケでは、ほぼすべてのH3K27me3修飾をPpCLFを含むPRC2が担っていると考えられた。現在、これらの解析に加えて、抗H3K4me3抗体を用いたChIP-SeqとDigital Gene Expressionも行っており、H3K27me3と他のヒストン修飾との相互作用および遺伝子発現との関係に関しても考察したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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