日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナのEARLY FLOWERING 3 (ELF3)の欠損はアクアポリンの概日調節に影響を与えるのか?
村上 晴子前島 正義*奈良 久美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0399

詳細
抄録
EARLY FLOWERING 3 (ELF3)は、概日時計の中心振動子への光・温度シグナルの入力を夕方に特異的に調節する因子である。elf3-1変異体では、幾つかの遺伝子の発現や胚軸伸長の概日調節が見られず、早咲きになることが知られている。さらに、野生型で観察される根の水分量の概日調節(明期で減少、暗期で増加)が、elf3変異体では観察されない。この根の水分量の増減が水の流速の変化に起因している可能性が高いことから、我々は、ELF3が欠損すると水輸送の概日調節が異常になると予想している。水輸送には、生体膜に存在する水チャネル、アクアポリンが重要な役割を担っている。そこで、アクアポリン遺伝子のうち、PIP1;2PIP2;1の発現を調べたところ、連続明期で育成したelf3変異体の実生では、野生型で観察される主観的明け方での発現の増加と主観的夕方での発現の減少がみられなかった。実生におけるこれらのアクアポリン遺伝子発現の概日調節の異常から、連続明条件ではアクアポリンタンパク質の量が一日を通して変化していないことが予測される。そこで現在、elf3変異体の胚軸と根におけるアクアポリンタンパク質量の概日制御について、解析を進めている。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top