日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イオンビーム誘発UVB耐性変異体イネUVTSa-319の生理学的特徴解析
*高野 成央高橋 祐子山本 充寺西 美佳長谷 純宏坂本 綾子田中 淳日出間 純
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p. 0428

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抄録
イネのUVB耐性獲得に関わる主因子は、UVBによって誘発されるシクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)を修復するCPD光回復酵素である。しかし、いまだUVB耐性機構の全容は明らかになっていない。これまでに我々はUVB耐性に関わる因子の探索を目的に、UVB抵抗性イネ・ササニシキを親株とし、炭素イオンビーム(320 MeV:12C6+, 80 Gy)誘発UVB耐性変異体UVTSa-319の選抜に成功し、解析を進めてきた。これまでの解析により、UVTSa-319は野生型と比較し、CPDの生成数(UVBの透過性)や修復活性には差が無いこと、また、第7染色体の機能未知遺伝子2つを含む約45 kbが欠失していることがわかっている。UVBはCPDや6-4光産物、酸化損傷などのDNA損傷を誘発し、DNAの複製を阻害する。そこで我々はUVTSa-319の変異がUVBによる複製阻害に影響を及ぼしているのかを調べるため、複製阻害剤としてdNTPの合成阻害剤であるHydroxy Urea、DNA架橋形成等を誘発するMitomycin Cが含まれた寒天培地上での種子根の生育を野生型とUVTSa-319とで比較した。その結果、UVTSa-319はこれらの試薬に対し、野生型と比較して耐性を示すことがわかった。本大会ではこれらの結果を踏まえ、UVTSa-319が獲得したUVB耐性機構について考察する。
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© 2011 日本植物生理学会
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