日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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bHLH型転写因子PIF4/PIF5は短日条件特異的にATHB2遺伝子の転写を誘導しシロイヌナズナの光周期依存的胚軸伸張制御を支えている
*山篠 貴史国広 篤史中西 華代水野 猛
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p. 0472

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抄録
高等植物の光周性応答は概日時計機構と密接に関連している。シロイヌナズナの代表的な光周性には長日特異的な花成促進と、短日特異的な胚軸伸張が知られている。光周性花成経路においては、長日の明期後半にB-Boxドメインをもつ転写因子COが活性化することでフロリゲンとしての機能をもつFTを転写誘導する機構が明らかにされている。一方、胚軸伸張制御においてはbHLH型転写因子PIF4/5が関わっていることが報告されている。PIF4/5はmRNAレベルで明期にピークをもつ概日リズムを示すが、そのタンパク質は赤色光照射下で速やかに分解されることから、PIF4/5は短日条件の暗期後半に活性化していることが推定された。これに従えば、PIF4/5の下流で機能する遺伝子は短日特異的に暗期の終わりにピークをもって誘導されるはずである。そこで、我々はPIF4/5の支配下にある遺伝子の中から上記の条件を満たす遺伝子を選抜し、その候補の一つとしてATHB2を同定した。光受容体や概日時計因子変異体を用いて、ATHB2 mRNA発現を種々の明暗サイクル条件下で解析することにより、PIF4/5が短日条件特異的に暗期後半で活性化していることが示唆された。以上の結果から、概日時計と光受容体が協調してPIF4/5-ATHB2出力系を制御することで短日特異的な胚軸伸長が起こる機構を説明するための外的符合モデルを提唱する。
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© 2011 日本植物生理学会
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