日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナRKDタンパク質による初期胚発生の制御
*中島 敬二和氣 貴光日岐 武嗣渡邊 涼平石田 達也橋本 隆
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p. 0478

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抄録
種子植物の胚発生については、球状胚期以降の体軸や器官原基形成について比較的多くの知見が得られている一方で、初期胚の分裂を制御する機構については知見が乏しい。我々はこれまで、シロイヌナズナの根特異的アクティベーションタギング系を用いて、新規なパターン形成制御因子の探索を行ってきた。その過程で、植物特有のRKD遺伝子ファミリーが、細胞分裂の促進能や脱分化能を持つことを見出し、その機能解析を進めている。シロイヌナズナのRKDファミリーは、RKD1-5の5つの遺伝子からなるが、レポーター解析により、それらのすべてが胚の特定の領域で発現していることが明らかとなった。また、単一遺伝子の機能欠損変異体では、rkd4変異体のみが初期胚のパターン形成に異常を示すことが分かった。RKD4とGFPの融合タンパク質は核に局在し、RKD4のアミノ末端領域が酵母において転写活性化能を示したことから、RKDタンパク質は一次構造からの推定通り、転写因子として機能すると考えられる。RKD遺伝子を誘導的に過剰発現させた実生では、初期胚特異的な遺伝子群の発現が活性化していた。また、それらのうちのいくつかは、rkd4変異体で発現レベルが低下していた。以上の結果は、RKDタンパク質が初期胚における遺伝子発現を制御することで、その正常な発生を促進していることを示唆している。
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© 2011 日本植物生理学会
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