日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの胚発生におけるWD40リピートタンパク質RID3のはたらき
*Saiga ShunsukeTamaki HiroakiSugiyama Munetaka
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p. 0477

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抄録
植物組織片からの器官再生は、頂端分裂組織の新生を経るため、その解明は頂端分裂組織形成機構の理解に大いに寄与することが期待される。我々は、器官再生を指標として、シロイヌナズナの温度感受性突然変異体を多数単離し、解析を進めてきた。その一つrid3は、制限温度下で不定根形成やシュート再生の不全を示し、頂端分裂組織の新形成に必要な細胞増殖統御に欠陥があると考えられる。責任遺伝子のRID3については、WD40リピートタンパク質をコードしていること、シュート再生過程ではカルス形成時に発現が上昇し、茎頂分裂組織形成に先立って局所的に発現が低下することなどを明らかにしている。
通常の発生では、胚形成の進行とともに決まったパターンで発現する一群の遺伝子の制御下に、最初の頂端分裂組織の構築が起きる。このときにRID3が果たしている役割について、いくつかの実験を行って検討したので、本発表ではその結果を報告する。制限温度下でrid3変異体を結実させて胚を調べたところ、様々な形態異常が観察されたほか、頂端分裂組織の形成や維持に関わる遺伝子の発現パターンが大きく変化していることがわかった。また、RID3の発現を調べると、初期胚では全域で高く、後期胚では分裂組織を避けるように局所的に低下していた。これらの結果は、RID3が器官再生だけではなく胚発生においても、頂端分裂組織形成に関与していることを示している。
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© 2011 日本植物生理学会
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