日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナ花茎の重力屈性に関与するSHOOT GRAVITROPISM 6の機能解析
*橋口 泰子矢野 大輔田坂 昌生森田(寺尾) 美代
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p. 0518

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抄録
シロイヌナズナ変異体shoot gravitropism (sgr) 6は弱いながら花茎の重力屈性に異常を示す。マッピングと相補性試験により、SGR6の原因遺伝子をAt2g36810と同定した。相補性試験に用いたプロモーターの制御下でGUSを発現する形質転換体の解析から、SGR6は花茎において表皮、内皮、維管束、interfascicular cellに発現することがわかった。このうち内皮は花茎における重力感受細胞であり、内皮細胞に含まれるアミロプラストの重力方向への移動が重力感受に重要である。アミロプラストは周囲を液胞膜に包まれた状態で存在する。このアミロプラストの重力方向への移動には液胞膜の動的構造が重要であることが示されている。そこで、sgr6の内皮細胞における液胞膜動態とアミロプラスト動態を観察した。その結果、野生型では花茎切片作成から30分の間、液胞膜およびアミロプラストの動態に変化が見られなかったのに対し、sgr6では徐々に液胞膜の動的構造が失われ、アミロプラストは動かなくなった。このことから、SGR6が内皮細胞において液胞膜の動的構造の維持に関与することが示唆された。sgr6の内皮細胞で観察された表現型と重力屈性における表現型との関係を明らかにするため、現在、内皮細胞特異的プロモーターの制御下でSGR6を発現するsgr6背景の形質転換体の解析を行っている。
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© 2011 日本植物生理学会
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