日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

細胞壁分解酵素を認識する植物防御機構
*竹田 匠亜紀子 平渕高橋 真智子中島 将博中野 友貴寺内 良平
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0524

詳細
抄録
植物に感染している病原菌は植物のアポプラストにおいて多種の細胞壁分解酵素により細胞壁を分解し、細胞壁ゆるみの誘導や炭素源の獲得を行っている。植物は病原菌の侵入に対してさまざまな防御機構を機能させているが、アポプラストにおいては病原菌由来の細胞壁分解酵素に対するインヒビタータンパク質を生産している。特に、病原菌が分泌するキシラナーゼやペクチン分解酵素に対して、植物はこれらに対するインヒビタータンパク質により酵素活性を阻害し、細胞壁の分解を抑制している。また、植物はキチナーゼや1,3-β-グルカナーゼなどにより病原菌の細胞壁を分解し、生じた細胞壁分解産物はエリシターとして認識される。さらにキシラナーゼを認識するレセプタータンパク質の存在も認められている。このように植物はアポプラストにおいて、病原菌への防御機構を発展させてきた。
我々は病原菌由来の細胞壁分解酵素に対する植物の防御機構を明らかにするため、いもち病菌由来の加水分解酵素をベンサミアーナにおいて一過的に発現させ、細胞壁分解酵素による植物の防御反応を調べた。その結果、ベンサミアーナはファミリー12に属するグルカナーゼにより過敏感細胞死を誘導することが明らかとなった。本発表では病原菌に由来する細胞壁分解酵素による植物の過敏感細胞死の解析について報告する。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top