抄録
遺伝子組換えポプラの野外試験を林木育種センター隔離圃場で、2010年12月まで4年間、実施した。組換えポプラは、セルロースミクロフィブリルを架橋しているキシログルカンを分解するキシログルカナーゼ(AaXEG2)を構成発現させたものである。野外試験を始める前に培養室で育成させた場合、組換えポプラは、成長速度が早く、セルロース含量が高くなり、木部の比重が高くなった。また、葉は緑色が強く厚くて重い陽葉の性質を見せた。網室の育成では、セルロース含量が高いことと陽葉の表現型は保存された。
野外に植栽した場合、成長レベルは、富栄養区では野生株よりも低かったが、貧栄養区では野生株と同じレベルになった。キシログルカナーゼ活性は、芽で低く、根で高く、根の成長が抑えられていた。葉は、陽葉の表現型を示した。各組織におけるプロテオーム解析から、全ての部位でストレスに関連する遺伝子の発現が増大した。