日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナにおけるホウ素欠乏初期応答の解析
*大岩 優貴小柴 太一小林 優間藤 徹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0528

詳細
抄録
植物の微量必須元素であるホウ素は細胞壁に局在し、ペクチン質多糖のラムノガラクツロナンII(RG-II)をホウ酸ジエステル架橋することで多糖の高次構造形成因子として機能している。我々はこれまでに、タバコ培養細胞BY-2の培地からホウ素を除去すると数分以内に細胞膜カルシウムチャネルが開口し、1時間以内にストレス応答遺伝子の発現が誘導されることを明らかにしてきた。培地からのホウ素消失によりこのように迅速な応答が発生するメカニズムは不明である。我々はこのメカニズムをシロイヌナズナを用いた分子遺伝学的解析を通じて明らかにしようと考えており、ここではまずシロイヌナズナのホウ素欠除に対する初期応答を解析した。
実験には水耕栽培シロイヌナズナを用いた。ホウ素欠除処理後1時間の根では伸長領域が特異的にEvans blueで染色された。同じ部位で活性酸素分子種(ROS)の蓄積も観察された。これらの結果は、シロイヌナズナ根では伸長領域の細胞が特にホウ素欠乏に対する感受性が高く、短時間でROSを発生・蓄積し細胞死に至ることを示唆する。また欠除処理後1時間の根における遺伝子発現をRT-PCRで解析したところ、ホウ素欠乏タバコBY-2と同じストレス応答性遺伝子の発現誘導が確認された。今後、欠乏シグナルの生成・伝達に関わると推定される分子の変異株について、これら遺伝子の発現を指標に欠乏応答を解析する予定である。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top