日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナとイネの水ストレス応答におけるAREB/ABF-SnRK2経路の役割
*藤田 泰成吉田 拓也Tory Chhun中島 一雄藤田 美紀城所 聡溝井 順哉篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0591

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抄録
植物では、乾燥や塩害などの水ストレスによって細胞内のアブシシン酸(ABA)濃度が上昇し、水ストレス応答に関わるABA誘導性遺伝子群の発現が誘導される。ABA存在下では、ABA受容体であるPYR/PYL/RCARファミリータンパク質がグループA プロテインホスファターゼ2C(PP2C)と複合体を形成し、これによってPP2Cによる負の制御が解除されSnRK2プロテインキナーゼが活性化される。サブグループIIIのSnRK2プロテインキナーゼはAREB/ABFなどの多くの転写因子を正に制御し、また、AREB/ABF転写因子(AREB1/ABF2、AREB2/ABF4およびABF3)はABA応答(ABRE)配列を介して多数のABA/乾燥ストレス応答性遺伝子の発現を制御していることを示してきた。本研究では、シロイヌナズナとイネを用いてAREB-SnRK2経路が乾燥ストレス応答において果たしている役割を解析した。プロトプラストを用いた一過的発現解析や各種変異体および過剰発現体を用いた遺伝子発現や表現型の解析などを通して、AREB-SnRK2経路が水ストレス時のABAシグナル伝達系において中心的な役割を果たしていることを示した。また、AREB-SnRK2経路はシロイヌナズナにおいてもイネにおいてもたいへんよく保存されており、陸上植物の水ストレス応答において重要な役割を果たしていることを示した。
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© 2011 日本植物生理学会
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