日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナにおけるカリウムトランスポーターKUP6を介した浸透圧ストレス応答と成長制御
*刑部 祐里子桂 彰吾有永 直子長町 啓太田中 秀典山田 晃嗣徐 劭旭篠崎 一雄篠崎 和子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0590

詳細
抄録
乾燥・塩ストレスとアブシジン酸(ABA)で発現誘導されるカリウムイオントランスポーターKUP6は、植物の浸透圧調節に重要な役割を持っていると考えられる。KUP6プロモーターは維管束組織および孔辺細胞で発現し、KUP6-GFPは細胞膜局在性を示した。KUP6および相同性遺伝子KUP8の二重変異体kup6kup8は通常の生育条件下で側根数が増大しており、さらに、その側根形成は天然オーキシンIAAに高感受性を示し、ABAおよびオーキシン輸送阻害剤NPAに対し非感受性を示した。カリウムイオンチャネルGORKはABA誘導性K+排出に機能し気孔閉鎖を行うが、根の表皮においても発現する。GORK とKUP6/8の側根形成における機能を明らかにするために、kup6kup8gork三重変異体を作出しその表現型を解析した結果、kup6kup8gorkではIAA高感受性、ABA/ NPA非感受性がさらに増強されることが明らかになった。KUP6の高発現形質転換体の成熟葉では水分損失が低下し、土植えした形質転換体は長期の乾燥ストレスに対し耐性が向上した。一方、kup6kup8の気孔閉鎖におけるABA応答性は低下しており、成熟葉の水分損失は増大していた。さらに、浸透圧ストレス条件下におけるkup6kup8gork三重変異体の表現型、およびGORKとKUP6/8の共調的な機能について解析した結果を報告する。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top