日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネにおけるKNOX遺伝子の自己制御
*津田 勝利伊藤 幸博佐藤 豊倉田 のり
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p. 0609

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抄録
茎頂分裂組織(Shoot apical meristem,SAM)は、一生を通じて自身をたもちながら、全ての地上部器官を生み出していく、未分化な組織である。Class I Knotted1-like homeobox (KNOX)遺伝子はSAM特異的に発現し、その未分化性を維持している遺伝子である。過去のシロイヌナズナとトウモロコシにおける研究で、KNOX遺伝子はSAMの形成と維持に不可欠な役割を担っていることが明らかにされていたが、茎頂におけるKNOX遺伝子の発現を正に制御するメカニズムは全く不明であった。
我々は、イネを用いた遺伝学的解析により、KNOX遺伝子の発現量がKNOX遺伝子の機能に依存していることを見いだした。イネKNOX遺伝子のひとつ、Oryza sativa homeobox1 (OSH1)は進化的に保存されたシス配列を介して、自身を含めた5つ全てのKNOX遺伝子の発現を直接、正に制御していた。また、OSH1遺伝子領域内のこれらのシス配列は、自身の発現、およびSAMの形成または維持に必須であることが明らかになった。
以上の結果をふまえて、我々はKNOX遺伝子を介した未分化性の維持機構を、新たなSAMの自己制御メカニズムとして提案したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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