抄録
Protein disulfide isomerase (PDI) 活性を有するシロイヌナズナタンパク質CYO1はチラコイド膜に局在し、子葉特異的な葉緑体形成因子として機能している(Plant Cell 2007, 19:3157-3169)。我々は本葉など子葉以外の緑色組織においてもPDI活性を有する未同定の葉緑体形成因子が機能していると推測し、その同定を試みた。アミノ酸配列情報とプロテオーム解析による細胞内局在情報から遺伝子の絞り込みを行い、緑色組織全体でPale greenの表現型を示すシロイヌナズナ変異体cyo2を得た。cyo2変異体は光合成の電子伝達活性、光化学系IIの最大活性が低下しており、ウエスタンブロット解析でも多くの葉緑体タンパク質の減少が観察された。GUSを用いた解析からCYO2遺伝子は子葉を含む緑色組織全体で発現が観察されたが、興味深いことに暗所生育の子葉においてもCYO2遺伝子の発現が観察された。また、CYO2タンパク質はCYO1タンパク質同様PDI活性を有していることが示された。以上の結果からCYO2タンパク質は子葉を含む緑色組織全体における葉緑体形成因子として機能していることが示唆された。現在、CYO2タンパク質の機能について詳細に解析しており、その結果についても報告する。