日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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植物液胞のポストゲノム解析
*大西 美輪姉川 彩杉山 裕子七條 千津子深城 英弘三村 徹郎
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p. 0717

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抄録
液胞は植物細胞体積の約8割を占めるオルガネラであり、膨圧形成、無機イオンや代謝産物の蓄積、不要となったタンパク質の分解など細胞内恒常性の維持に重要な役割を果たしている。その機能から、液胞膜を介したさまざまな物質の輸送や液胞内における酵素の働きが予想されるが、それらを支える分子機構の解明はまだ十分ではない。我々は、植物細胞において重要なオルガネラである液胞の機能を支える分子基盤の解明を目指し、液胞のメタボローム解析とプロテオーム解析を行っている。これまでに我々は、植物細胞より液胞をインタクトな状態で単離し、CE-MSとFT-ICR-MSを用いて、液胞に含まれる物質について網羅的な解析と物質の同定を行ってきている。ターゲット分析では、これまで液胞には存在しないと考えられていたリン酸化合物の存在が示唆された。非ターゲット分析による液胞代謝産物のリスト化も進めている。液胞内に見いだされたタンパク質より、分解系に加え、様々な代謝反応が液胞で行われている可能性が示唆された。現在、液胞膜エンジニアリングとして、液胞膜のプロテオーム解析より同定された機能未知膜タンパク質について、過剰発現させた細胞の作製を行い、形質転換細胞と非形質転換細胞それぞれから単離した液胞の代謝物質の比較解析を行っている。また、オートファジー阻害剤添加による液胞代謝動態についても考察したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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