抄録
アルミニウム(Al)は植物の著しい生育阻害を起こす。耐性機構と共に遺伝子レベルでの発現応答機構の解明は重要である。我々は、Al誘導性遺伝子AtGST11の発現応答機構、特に転写調節因子(以下TF)を介した発現制御を解析している。またAtGST11は、重金属処理や酸化ストレスでも誘導されるので、これらのストレス間には共通した応答機構が存在するかも検討した。既に我々はAtGST11のプロモーターに結合する4つのTF候補を単離している。[putative bZIP TF (#11-1-1)、 ERF 2 (#11-1-3)、putative ring Zn finger TF(#13)、 ATHB 6 (#43)]まずゲルシフトアッセイで、プロモーターと結合することを確認した。次にルシフェラーゼアッセイを用いてこれらTFの作用を検討した。その結果、#11-1-1と #11-1-3は、アクチベーターとしてAtGST11の発現を誘導し、逆に#13と#43はレプレッサーとして抑制することが示唆された。さらに、TFの変異株を用いて各TFのストレス特異性をReal-time PCRで解析した。その結果、#11-1-1はAl、Cd処理時に誘導し、#13、#43はcold、heat処理時に抑制することが示唆された。現在、#11-1-3について解析中である。