抄録
ユキヤナギ葉から単離されたアレロケミカル(シス桂皮酸配糖体)は、強い植物生長阻害活性を示す。その作用機構解析を目的として、シス桂皮酸投与後のシロイヌナズナ植物体を用いてマイクロアレイ解析を行った。シス桂皮酸を投与して6時間後、全RNAを抽出し、マイクロアレイを行った結果、75遺伝子の発現を活性化し、116遺伝子の発現を抑制していた。それらの遺伝子群の解析を行った結果、PRタンパク質をコードする遺伝子群に正の制御、ジャスモン酸/エチレン応答遺伝子群、環境ストレス応答転写因子、細胞伸長過程において細胞壁に特異的に発現する遺伝子群、活性酸素種解毒酵素遺伝子群等に負の制御を誘導することが明らかになった。これらの結果から、シス桂皮酸は植物ホルモン制御系の撹乱、環境ストレスに関わる生体防御機構の撹乱、さらに細胞伸長過程に関わる細胞壁代謝系を撹乱を引き起こしている可能性が示唆された。