日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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植物の凍結耐性におけるダイナミンタンパク質の機能
*近藤 万里子南 杏鶴河村 幸男上村 松生
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p. 0818

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抄録
植物を凍らない程度の低温に暴露すると凍結耐性が上昇(低温馴化)し、その機構には細胞膜の組成・機能の変化が重要な役割を果たすことが知られている。低温馴化過程では、エンドサイトーシスやエキトサイトーシス等により細胞膜の構成成分が変動し、選択的な膜改変が行われていると推測される。最近、低温馴化過程におけるシロイヌナズナ細胞膜タンパク質のプロテオーム解析により、エンドサイトーシスに関するダイナミン様タンパク質(DRP1E)が低温馴化に伴って細胞膜に蓄積することが明らかになり(Minami et al.,2009)、DRP1Eが低温馴化過程で起こる細胞膜改変に関わっていることが示唆された。さらに、本研究において電解質漏出法を用いて凍結耐性を評価したところ、(1)低温馴化後には野生株の方がDRP1E欠損株よりも高い凍結耐性を示すこと、及び(2)その差は葉齢が若いほど顕著に表れること、が明らかになった。さらに、DRP1E特異抗体を用いたウエスタンブロットによって低温馴化過程でDRP1Eが細胞膜に蓄積することを確認した。現在、低温馴化過程において葉齢の異なる葉から単離された細胞膜を用い、葉齢によるDRP1E蓄積量と低温馴化機能の関連を解析し、さらに野生株とDRP1E欠損株の細胞膜プロテオーム解析を行い、それらの結果を基にDRP1Eによる細胞膜改変と凍結耐性の関係について議論したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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