日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ブルーベリー枝に存在する著しく高い氷核活性の特徴
*山崎 秀幸吉田 慎吾石川 雅也
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p. 0819

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抄録
以前我々は、赤外線サーモビュアを用いて冬季のブルーベリー(Vaccinium ashei cv. Woodard)枝の凍結挙動を示差画像により可視化解析(新解析手法)した。その結果、枝は二段階で凍結しており、最初の凍結は木部でなく枝の表面で生じていることがわかった。また、枝及び木部と皮層部の氷核活性(INA)を測定し、皮層部分に高い活性があることがわかり、サーモビュアの解析結果と一致した。冬季の枝の凍結開始には、皮層部氷核活性が重要な働きをすると考えられ、今回はさらに、冬季枝の氷核活性の特徴を詳しく調べた。まず、INAに対する曝露時間と枝の量の効果を調べた。INAは枝の量が増すにつれ高まり、72mg(7.5mmの枝10本分)の時のINAは-0.6℃となった。量が1.5mg(枝約2mm)でも-1℃程度の高いINAを示した(曝露時間25分)。ブルーベリー枝はおそらく生物起源で最も高い氷核活性を持っている。組織別に分けたINAを測定すると、これまでの結果では、木部+髄、ファイバー+師部、表皮はINAが低く、柔細胞と空隙に高いINAが見られた。エタノールの影響を調べると、20%までは高いINAを維持していたが、40%以上になるとINAは低下した。その他、枝に切り込みを入れる処理、乾燥処理、抗氷核活性物質処理などの結果とともに報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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