抄録
現在, イネの様々なオミックス情報がデータベースより提供されている. それらには, ゲノム・アノテーション, 代謝パスウェイ, マイクロアレイ実験データなどが含まれる. これらの機能アノテーションや遺伝子発現データなどのオンライン・リソースを最大限に活用するためには, 各データベースにおいて用いられている遺伝子のIDなどを対応付ける必要がある. さらに, 遺伝子発現データから発現ネットワークを構築し, 機能アノテーション情報と統合することによって, 候補遺伝子の探索が促進され得る.
当プロジェクトでは, 主要データベースが提供するアノテーション情報を収集すると共に, 遺伝子発現ネットワーク解析から得られた情報と統合し, データベースOryzaExpressから提供している(http://riceball.lab.nig.ac.jp/oryzaexpress/).現バージョンでは, 624サンプルのマイクロアレイ実験データから構築した遺伝子発現ネットワーク情報をインタラクティブなWebインターフェースを通して抽出できる. また, ATTED-IIが提供するシロイヌナズナの遺伝子発現ネットワークを統合し, イネとシロイヌナズナのオーソログにおける発現パターンの保存性を閲覧可能とした. 現在, 新たな遺伝子発現ネットワーク解析手法を構築中であり, 得られた結果を統合していく予定である.