抄録
Acaryochloris 属はChlorophyll(Chl) dを主要色素とするシアノバクテリアである。我々はAcaryochloris marina MBIC 11017より光化学系IIを単離し、光誘起差FT-IRおよび吸収変化により、special pair がChl d二量体、初期電子受容体がPheophytin(Pheo) aである事を報告した。また、2010年には初期電子受容体の酸化還元電位が約80mVポジティブシフトしていることから、反応中心ChlがChl dであることを再確認した。 しかし、単離光化学系IIにおいてChl a領域に遅延蛍光が観測されることからspecial pairを含む反応中心タンパク質の色素組成にはまだ議論が残されている。本研究では、光化学系IIの単離精製方法の改良を試み、CP43およびCP47をほとんど除去した標品の調製に成功した。この標品の室温吸収スペクトルには、Pheo aの特異的な吸収帯が確認された。本大会では光化学系IIの色素組成について報告する。