抄録
海洋性珪藻Phaeodactylum tricornutumの葉緑体局在型carbonic anhydrase (CA)の1つPtCA1の発現はCO2濃度に応答して転写レベルで抑制される。現在までにptca1プロモーター領域(Pptca1)に存在する3つのシスエレメントCO2/cAMP response element (CCRE1-3)がCO2応答及び光応答に機能しており、cAMPがセカンドメッセンジャーであることが示されている。またCCRE2がCCRE1またはCCRE3と共に存在することでCO2応答及び光応答に機能していることが明らかになっている。本研究では、もう1つの葉緑体局在型CAであるPtCA2のプロモーター(Pptca2)を新たに単離し、GUSレポーターアッセイを用いて、比較解析から光応答機構を検討した。その結果、Pptca1の完全な抑制には光が必要であるのに対し、Pptca2では光の有無に関わらず高CO2環境下における抑制のレベルが同程度であることが明らかとなり、Pptca1とPptca2が光に対して異なる応答を示すことが示唆された。Pptca2上流領域においてCO2及び光応答性配列の探索を行なった結果、Pptca2のCO2及び光応答領域にも複数のCCREが存在することが明らかになった。