日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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陸生ラン藻の耐乾燥性に光化学系遺伝子と窒素固定関連遺伝子が関与することを利用して、耐乾燥性を活かした陸生ラン藻の有効利用法を検討する。
*加藤 浩山口 裕司竹中 裕行
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p. 0946

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抄録
陸生ラン藻の類縁株である Anabaena sp. PCC7120は耐乾燥性研究に有用なモデル生物であり、アレイ解析より選別した乾燥応答遺伝子を遺伝子破壊で解析し、窒素固定条件(窒素飢餓条件)で耐乾燥性能に関与することを見出した。それそれの遺伝子はストレス応答に関与することから、乾燥等の極限環境下で起こる細胞内外の現象に対応するために誘導されている可能性が示唆された。更に変化の起こらない光合成系の遺伝子(psb28)を解析したところ耐乾燥性能が失われたことから、光合成の一部が影響を受けることでも耐乾燥性能が低下することが明らかとなった。なおこの遺伝子の機能はよく分かっていない。
そこで、耐乾燥性に関わる光合成と窒素固定能を利用した、環境改善などに応用可能な有用ラン藻、陸生ラン藻 Nostoc commune単離を進め、無菌化した。これは上記のラン藻の類縁株であり、細胞外多糖を多く含むことから、植物栽培に必要な根の成長と窒素源の供給、さらに無菌化の利点を活かした食品等へ応用が期待される。まず、土壌としての可能性を模索するため、ラン藻マット上に植物の種子を播種し、生育阻害の有無を確認した。植物の栽培は可能であるが、成長を更に進めるためにはより多くのラン藻が必要なため大量培養系が必要であり。また植物の種類を検討する必要があることも明らかとなった。
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© 2011 日本植物生理学会
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