日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ABAを介した水ストレス応答におけるbZIP型転写因子ABF1の機能解析
*吉田 拓也藤田 泰成圓山 恭之進篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0945

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抄録
植物が乾燥や高塩濃度などの水ストレスにさらされると細胞内に植物ホルモンアブシシン酸(ABA)が蓄積し、ストレス耐性に機能する様々な遺伝子の発現が誘導される。これらABA誘導性遺伝子のプロモーター領域にはABA応答配列が保存されており、ABA応答配列に結合するタンパク質としてAREB/ABF転写因子が単離された。シロイヌナズナゲノム中には9個のAREB/ABF転写因子が存在するが、そのうちAREB1,AREB2,ABF3は乾燥、塩、またはABA処理により栄養生長期の植物体で発現が強く誘導される。これまで、areb1 areb2 abf3三重変異体を用いた解析から、AREB1,AREB2,ABF3が水ストレス応答時のABAを介した遺伝子発現制御において中心的な役割を果たしている転写因子であることを示してきた。AREB1,AREB2,ABF3は系統樹上で同一の群に属するが、この群に含まれるもう一つの転写因子であるABF1は水ストレスによる発現誘導が顕著でなく、その機能はよくわかっていない。本研究では、ABF1の機能を明らかにするために、areb1 areb2 abf3 abf1四重変異体とareb1 areb2 abf3三重変異体を用いて表現型および遺伝子発現制御における比較解析を行った。これらの結果をもとにして、ABF1の水ストレス応答における役割について考察する。
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© 2011 日本植物生理学会
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