日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

ラン色細菌Synechocysis sp. PCC 6803における酸耐性に関わるSll1558の機能解析
*市川 雄太三部 衛喜多山 秀一森山 淳小川 覚内山 純爾太田 尚孝
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0952

詳細
抄録
ラン色細菌Synechocysis sp. PCC 6803におけるSll1558はmannose-1-phosphate guanylyltransferaseであり、mannose-1-phosphateをGDP-mannoseへと触媒している。sll1558は、酸性条件下のDNAマイクロアレイ及びreal-time RT-PCRにより発現の上昇が確認された。本研究ではSll1558の酸性ストレスでの生理機能の解明を目的とした。
sll1558及びパラログであるsll1496の欠損変異株をそれぞれ構築し、酸性ストレスでの影響を検討した。sll1558欠損変異株は野生株に比べて酸性ストレスに高い感受性を示した。細胞壁の構成成分であるcapsular polysaccharideとlipopolysaccharideをそれぞれ比較したところ、sll1558欠損変異株は野生株と異なる結果を示した。また、Arabidopsis thalianaにおいて、sll1558と相同性のあるcyt1の欠損変異株は、野生株に比べて酸性条件下で主根の伸長が大きく阻害された。このことからSll1558は細胞壁の生合成に大きく寄与し、酸性条件下では発現が上昇し細胞壁の構造を変化させることで酸性ストレスに適応していることが示唆される。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top