抄録
シロイヌナズナのDREB2AはAP2/ERFドメインを有する転写因子で、シス因子のDRE/CRTに結合し、乾燥・高温などの環境ストレス応答性遺伝子の発現を制御している。DREB2AにはSer、Thrに富み、活性を負に調節するドメイン(NRD)が存在し、NRDを欠失したDREB2Aをシロイヌナズナで過剰発現させると環境ストレス耐性能が向上することが知られている。我々は食料や飼料として重要な作物であるダイズの環境ストレス耐性能を高めることを目的として、ダイズのDREB2A相同遺伝子の機能解析を行っている。
これまでに、系統解析により同定された18のDREB2A相同遺伝子の1つであるGmDREB2A;2は、DREB2Aと同様に、乾燥・高温ストレスによって強く誘導され、DRE配列を介した転写活性化能を有することを示した。また、GmDREB2A;2を過剰発現したシロイヌナズナは熱ストレス耐性能が向上していることを示唆した。今回、我々はNRDの相同配列がGmDREB2A;2にも存在することを確認し、ダイズの茎細胞を用いた一過的発現系での解析からNRDの相同配列を欠失したGmDREB2A;2は全長のGmDREB2A;2よりも高い転写活性化能を有することを示した。現在、NRDの相同配列を欠失したGmDREB2A;2を過剰発現するシロイヌナズナを作製し、表現型について解析を進めている。