日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

糖化され易い熱帯早生樹
*林 隆久海田 るみ
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. S0021

詳細
抄録
地球上のバイオマスの99%は木質(リグノセルロース)であり、その大半は樹木によって生産されている。しかしながら、わが国にはバイオ燃料にまわせる大量のバイオマスがなく、それを効率的に栽培する土地を確保することも難しい。従って、将来的にバイオエタノールの生産は、海外、特に植物の成長が活発な赤道直下の東南アジアが適地と考えられる。一方、東南アジアの熱帯天然林は乱伐により減少しているが、現地政府主導による大規模な人工植林により、広大な産業林が構築されつつある。
木質は構造的に糖化酵素によって分解されにくい。しかしながら、セルロースの完全分解物はグルコースであり、これを醗酵させるとバイオエタノールやバイオプラスチックなど石油由来のナフサ(ガソリンなど)の代りになる。ポプラでは、遺伝子組換え法により、リグニン量を減少させると糖化性を上げられることは知られている。また、ヘミセルロースの構成分解によっても糖化性を上げられることが分かってきた。組換えポプラで得られた木質の糖化レベル向上の成果を熱帯早生樹(ファルカータ、アカシア、ユーカリ)の遺伝的改良に生かす試みを紹介する。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top