日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ジベレリン信号伝達におけるGAF1複合体による転写制御機構
*深澤 壽太郎村越 悟寺村 浩那須野 慶西田 尚敬吉田 充輝神谷 勇治高橋 陽介山口 信次郎
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p. S0040

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抄録
植物ホルモン・ジベレリン (GA) は発芽・伸長成長・開花時期を制御することが知られている。GA信号伝達において、植物固有のGRAS family に属するDELLAタンパク質は、核内で主要な抑制因子として機能し下流の信号伝達を抑制しているが、GAの添加にともない速やかに分解される。GAレセプター、SCF複合体の発見によりDELLAタンパク質の分解までの経路が明らかとなった。我々は、下流の信号伝達経路を明らかにする為、DELLAタンパク質と相互作用する転写因子GAF1を単離した。GAF1過剰発現体は、開花時期の促進、胚軸の伸長、葉の展開といった表現型を示し、対照的に gaf 変異体は、GA非感受性の半矮性、開花遅延等の表現型を示した。
GAによるDELLAタンパク質の分解によって、DELLAのGAF1に対する作用は、消失する。また、GAF1は、DELLAタンパク質の他に、転写抑制因子とも相互作用することが明らかとなった。酵母、植物を用いたモデル実験において、GAF1複合体は、GA内生量の変化にともない、その構成タンパク質を変えることによって、転写活性化能を調節し、標的遺伝子の発現制御を行っている可能性が示唆された。これらのモデル実験をもとに、GAF1の標的遺伝子の探索を行っている。
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© 2011 日本植物生理学会
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